平成30年10月号の【かながわ経済新聞】に(株)向洋技研(中央区田名4020-4)が紹介されました。
一点重点主義で世界制す テーブルスポット溶接機一筋 -来年にマザー工場完成も-
向洋技研(相模原市中央区田名、TEL042.760.4306)が製造販売するテーブルスポット溶接機「マイスポット」の累計販売台数が2700台を突破した。1988年の発売以来、どんなに苦しくともテーブルスポット溶接機一筋の「一点重点主義」(甲斐美利社長)を貫いたとともに、年15回も国内外の展示会に出展する試みを約20年間続けてきたことが奏功。今では海外約25カ国で愛用されるまでになった。2019年5月には念願の新工場も完成させる。
社員数30人。「テーブルスポット溶接機」という他社も手掛けない溶接機を専門に扱っている。テーブル型で多関節ロボットアームを使い、奥深い箱物の溶接作業ができるものだ。用途もコピー機や配電盤、自動販売機の筐体などと幅広い。
一方、2012年には「高速溶接技術」を実用化。現在は同社製品に標準搭載されている。電極板がなくても、片側一方向から通電させるだけで、0.01秒という瞬時に溶接できる技術だ。溶接すると生じる「やけ」や「スポット痕」も抑えられる。この技術は県工業技術開発大賞にも選定されている。
もともとは1988年にマイスポット1号機を発売した甲斐社長。だが、最初は鳴かず飛ばず。やがて海外市場にも目を向けた。「日本はよい製品であっても知名度がないと売れません。だったら海外に出てみようと考えました」(甲斐社長)。海外市場でも「5年間は目が出ませんでした」(同)と言うものの、会社の知名度ではなく、製品の内容で決める海外企業からの関心が高まり、徐々に普及していった。
今も海外を飛び回っている甲斐社長は「『機械の行商人』という思いで、片道切符で行く覚悟を持って海外に出ています」と語る。そして「最初は代理店に頼らず、自分たちが海外の展示会に出てみて反応を見ることです」とも説明する。
■来年にマザー工場が完成
そんな同社では、テーブルスポット溶接機の国内外での需要増に対応するため、来年5月の完成に向け、同市緑区橋本台に新工場を建設している。地元・相模原市の産業誘致促進方策「STEP50」などを活用した。
新工場は敷地面積約1600平方メートル。ここに工場棟(2階建て)と事務所棟(4階建て)を置く。総投資額は約6億円になる見込み。完成後は本社マザー工場と位置づけていく。
(かながわ経済新聞10月号7面掲載)