2025.07.14

「プライムダイレクト」がかながわ経済新聞に掲載されました

2025年7月号の【かながわ経済新聞】にプライムダイレクトが紹介されました。

■【産業あるある情報】プライムダイレクト(株)

親族外承継、どん底からの復活劇
プライムダイレクト、債務超過から無借金経営の黒字企業に

 中古プリンターや中古モニター、消耗品といったオフィス関連商品を販売するプライムダイレクト(相模原市中央区田名)。2013年1月に親族外承継した3代目の鈴木祐幸社長は、当時債務超過で倒産寸前だった同社を立て直し、13期連続の黒字、8期連続の無借金経営の企業へと復活させた。だが、その道のりは決して平坦ではなかった。社内改革や先代との対立、クーデター未遂、大胆な事業再構築…。まるでドラマのようだが、孤独感と戦いながらも、諦めない執着心でこれらの障壁を一つずつ乗り越え、どん底から優良企業へと変貌させた。

■就任直後の洗礼
プライムダイレクトは2007年4月、町田にあるコンピュータ用磁気製品・プリンター・リサイクルトナーの販売企業から、プリンター販売とリサイクルトナー部門が分社化する形で創業。間もなくして、大手OA機器メーカーで営業の最前線にいた鈴木社長が入社する。前職があまりにも激務で体調に異変を感じていた鈴木社長にとって、同社の職場は「ぬるま湯で天国に見えた」という。
ただ、もともと不採算事業を切り離して設立した会社だけに業績は芳しくなく、初代から経営を託された2代目社長もすぐに降板。白羽の矢が立ったのが入社間もない鈴木社長だった。
腹を決め、経営者として会社の財務状況を隅々までチェックすると、債務超過に近い状態であることが判明した。
歴代の社長たちは何ら手を打っておらず、このままでは倒産は避けられなかった。当然、関係者も警戒を強めた。「社長就任早々、金融機関や信用調査会社からの洗礼を受けました」。

■クーデター未遂
社内でも同様だった。ぬるま湯からの脱却を図り、改革を進めようとするも“新参者”だった鈴木社長に対する風当たりは厳しかった。「全員が敵に見えました」という。それに輪をかけて、8年間にわたり商品在庫を横流ししていた社員の不正も発覚。その額は800万円に上ったという。不正を追及しようとすると、今度はその社員と前社長、他の株主が結託し、株主総会で鈴木社長を追放しようという動きが出た。しかし、その動きを事前に察知していた鈴木社長は、当時筆頭株主だった初代社長に直談判して回避。鈴木社長の勝利に終わった。そして全株を取得し、実質的な社長となった。

■ぬるま湯から脱す
再建への模索が続くある日、主力商品であるリサイクルトナーの原価計算を何度も重ねたところ、自社生産ではなく、同業他社から仕入れた方が安いことに気付いた。悩んだ末に決断したのは、自社生産からの撤退だった。これにより、工場の賃料や製造コストなどの大きな重荷がなくなった。
社内改革も断行した。まず「期日ルール」を策定。例えば「早めにやって」は「今日中に」、「そのうちに」は「3日以内」、「いつでもいい」は「1週間以内」などとした。営業手法も見直し、男性社員による訪問営業から女性スタッフによる電話営業主体に切り替え、在宅勤務も解禁した。在宅勤務可能な職場となると、全国から応募が殺到した。また、出社の必要がない事務作業についてはマニュアル化を徹底し、在宅副業人材やフリーランス人材への業務委託も活用することにした。

■事業再構築も実現
現在、同社の主力事業は、かつてのリサイクルトナーではなく、プリンターやスキャナー、モニター、オフィス家電などの販売が軸となっている。中でもパソコンのモニターは「パソコン1台につき3画面設置すると大幅な効率化になります」と提案に力を入れている。今や年商も6億円を超えた。
かつて主力としていたトナー業界は、エプソンのレーザープリンター終息宣言に象徴されるように縮小傾向にある。そんな中で、鈴木社長は「業界の潮流に乗るよりも、世の中の『微妙な流れ』を見極めて勝負します」と語り、さらなる成長を目指している。

(かながわ経済新聞 2025年7月号に掲載)

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