2024年1月号の【かながわ経済新聞】に谷津建設株式会社(中央区東淵野辺)が紹介されました。
■【産業あるある情報】谷津建設株式会社
地元結集、バイオガスプラント完成
さがみはらBGP、食品廃棄物から売電へ
品廃棄物由来のメタンガスを燃料にする大規模バイオガス発電プラント「さがみはらバイオガスパワー(さがみはらBGP)田名発電所」が本格稼働した。食品リサイクル事業を展開する日本フードエコロジーセンター(中央区田名塩田)などが出資する「さがみはらBGP(同)」が建設した。食品工場や大手スーパーなどから収集した食品廃棄物を利用する。実はこの施設を設計し、中心になって建設を進めたのは地元の谷津建設(中央区東淵野辺)などだ。地元企業が連携し、経験がないプラントを完成させた。
■肥料化からエネ化まで
約12億円を投じて完成した同発電所(敷地面積2127平方㍍)は、処理能力が日量50㌧。発電出力は一般家庭で約1000戸分の電気量に相当する528㌔㍗。食品廃棄物のメタン発酵によってバイオガスを発電し、固定価格買い取り制度(FIT)を活用して売電事業を展開していく。また、発酵後の消化液も活用。固液分離後、廃熱などを用いて乾燥し、肥料原料も製造する。日本フードエコロジーセンターと隣接。同社は食品工場など、約180カ所から食品廃棄物を集めており、飼料などにリサイクルできないものは焼却処分していた。それが今回の稼働により、エネルギーとして再利用できるようになる。その結果、年間1828㌧の二酸化炭素(CO₂)削減効果も見込んでいる。また、同社との連携により、食品廃棄物の肥料化と飼料化、エネルギー化がワンストップで行えるようになり、日本初、食品循環資源の品質や状態ごとに最適なリサイクル方法が選択できる「カスケード利用型食品リサイクル施設」としても期待される。
■地域の底力
2022年5月に着工した。プラントはバイオガス発電技術で先行するオランダのHoSt社がプロジェクトに参加し、技術指導した。それを受けて地元の中小ゼネコン、谷津建設が設計から担った。ただ、同社はビルやマンション建設などが主力。プラント建設をゼロから請け負った経験はなかったという。
「(プラント建設は)専門企業、大手企業の領域です。当社も基礎工事の経験はあるものの、設計・建設の経験はありませんでした。ただ、大手が建設すれば莫大な費用がかかります。地域のために挑戦しました」と谷津弘社長。そして同社が中心となって地元業者が結集し、一大プロジェクトを遂行した。
機械設備製造も三友共立工業(同市緑区橋本台)が担ったほか、建設費用の一部も地元金融機関が融資した。
現在、同発電所は順調に稼働している。大手企業の領域である特殊プラント建設で、完成までの多くの工程を谷津建設などの地元中小企業が担い、見事完成させたことで、地域企業の底力を見せた。
設計した同社の上條忠行・建設LC事業部課長は「同じような案件があれば、またやってみたいです」と自信をのぞかせた。