2025年4月号の【かながわ経済新聞】にビルドアートが紹介されました。
■【産業あるある情報】株式会社ビルドアート
木造技術生かし、相次ぎ新分野進出
ビルドアート、植物工場レタスは海外で「800円」
ビルドアート(相模原市南区相模大野)は、得意分野である「木造」のノウハウを多方面に展開し、次々と新市場進出を果たす。木造建築の知見を生かした植物工場やグランピング施設などを手掛け、すべて自社運営とすることで新分野でのノウハウを蓄積。中でも、植物工場で栽培されたレタスはアジア市場でも展開し、現地スーパーでは「レタス1株800円」で売れるほどの高値がついたこともある。
■楽しいスパイラル
久米理士社長は、学校卒業後に大工として経験を積み、2001年3月にビルドアートを創業した。以来、成長を続け、現在では注文住宅160棟、アパート50棟、ほかにもグループホームや幼稚園、社員寮といった「非住宅」まで、幅広く手掛ける企業となっている。
転機となったのは2010年。訪問したベトナム・ハノイのジェトロ(日本貿易振興機構)での出来事だった。「タンカーの上に住宅が載せられたポスターが張ってありました。日本の住宅市場は今後減少することから、国が住宅の海外輸出を推奨する内容のポスターでした。そのため、木造技術を生かして非住宅にも進出しようと考えました」(久米社長)。着目したのがアグリ事業だった。
日本の食料自給率は4割にも満たない。食料安全保障の観点からも、自給率向上は喫緊の課題となっている。また、地方の過疎化も大きな課題だ。「地方にはきれいな空気とおいしい水、材木があります。そこに元気な高齢者もいます。地元の木材や工務店を使って植物工場を建てて、雇用を生み出す“楽しいスパイラル”を生み出せないかと考えました」
■円安も追い風に
こうして18年11月、相模原市緑区鳥屋に関東でも有数の規模を誇る植物工場「ワールドファーム」を開設。得意の木造建築で完成させた“工場”だ。住宅における空調管理のノウハウも生かした。レタスは日産5000株を生産。「クリーンルームレベル」(久米社長)とする低菌状態で管理され、農薬不使用で洗わずに食べられる。さらに、露地野菜に比べて5倍程度日持ちするという。
ここで栽培された野菜は、「LOHA SARA(ロハサラ)」というブランド名で販売。国内だけでなく、輸出業者を通じてシンガポールや香港、台北へ船便で出荷。現地の大手スーパーにも並び、円安を追い風に台湾では「1株800円」で販売されるほどの評価を受けており、黒字化も達成した。
■リゾート事業も展開
農業分野だけでなく、リゾート事業にも進出した。同時期には、千葉県一宮町に木造グランピング施設「TENT」を稼働。木造建築の強みを生かした宿泊施設を備え、自然の中で快適に過ごせる空間を提供する。同社の新規事業の特徴は、施設を建設するだけでなく、自ら運営する点にある。「実体験を通して長所を伸ばし、短所を改善していけば、成功しないわけがないです」(久米社長)との考えがあるという。
(かながわ経済新聞 2025年4月号に掲載)