平成30年4月号の【かながわ経済新聞】に
創己ゼミ (中央区矢部3-21-1コーヴレジデンス103)が紹介されました。
小さな塾の教育革命
少子化の影響で競争が激化する学習塾業界。その中で、異彩を放ち続ける塾がある。
JR横浜線・矢部駅近くにある創己ゼミ(相模原市中央区矢部、TEL042.674.9674)だ。
有名大学に入れることを何よりも重視する他の塾と異なり、むしろ何らかの問題を抱える生徒、親に手を差し伸べる。やる気が出ない、勉強が手に付かない、不登校、発達障害…。これらの生徒を積極的に受け入れ、独自の「教えない指導」により、自立して勉強できるようにする。そのやり方は、企業の人材育成のヒントになりそうだ。
「教えない指導」で伸ばす
合格が人生の目標でない
相模原と八王子に塾を展開。生徒数100人ほど。他の塾や予備校とは異なり、広告やチラシにも合格実績を全面に出さない。
「合格が人生の目標ではありません。卒業してから、どう頑張るかが大切です」と、大手予備校出身の山口博久社長は強調する。
そして「今の教育は画一的なモノサシでしか見ていません。本当はさまざまな才能があったとしても、モノサシから外れるとすぐ問題視されます。これでは人が育ちません」と疑問を投げかける。
こうした考えが、現在の塾運営の原点となっている。
教室内は、一般的な学習塾のイメージとは異なる。先生が黒板で授業をする光景は見られない。小学生から高校生まで、さまざまな学年の生徒が混在。それぞれが自分のテキストで勉強している。むしろ自習室に近い雰囲気だ。
教育にコーチング導入
“コーチ”に当たる先生は、教室を見回って、生徒たちに話しかけたり、教えたりする。しかし完全に付きっきりではない。「むしろスポーツジムのやり方に近いです」と山口社長。
それぞれの生徒が自分なりの目標を設定。山口社長(監督)や先生(コーチ)は達成するための毎回の練習メニュー、作戦を立てる。生徒がその日のメニューを早く終えられれば、その分早く帰宅できる。問題があれば監督とコーチが再び作戦を立てる。そんな仕組みだ。
とはいえ、勉強を強いることはない。「スポーツのコンディションと同じで生徒にも波があります。だから、その日の生徒の調子を見極めます。調子が悪い生徒には勉強のことばかり話すのはナンセンスです。悩みを聞いたり、雑談したりします。話せて、聞いてくれて、共感してくれる。それだけで救われたりします」(山口社長)。
詰め込むより「自立」重視
生徒が先生に「逆授業」
一方的に教え込まない。分からなかったり、間違えたりした時のみヒントを与える。それでも答えは決して教えない。そうすることで生徒が「考える力」を身に付け、自立して学習ができるようになるからだ。
また、勉強中は「逆授業」と称して、理解したところを生徒が先生に説明する。「人に説明できれば理解できているか分かるからです」(同)。
こうした手法により、これまでに何人もの生徒を”自立”させることに成功した。
「日本の教育制度は疲弊していると思います。大学は就職するための手段でしかない。これでは、世の中生きていけません。大切なのは、自分で考え、自分で決め、自分で行動することです。自立して学習できることは、社会で生きていく上で欠かせない重要な姿勢です」と山口社長は語る。
小さな学習塾から始まった教育革命。将来は全国展開を視野に入れる。
(かながわ経済新聞2018年4月号8面掲載)