2019年11月号の【かながわ経済新聞】に(株)向洋技研(相模原市緑区橋本台)が掲載されました。
卓上溶接機の新工場稼働 海外15か国に輸出 国内外の需要増に対応
向洋技研(TEL042.770.4306)は、相模原市緑区橋本台に新本社・工場を稼働させた。同社で製造販売するテーブルスポット溶接機「MYSPOT(マイスポット)」の専用工場で、事務棟1階には、マイスポットを実際に試せるショールームも置いた。新工場の稼働により、同製品の年間生産能力は、旧工場(同市中央区田名)の倍以上となる約300台となり、国内外の需要に対応する。
同社は従業員数35人の溶接機メーカー。1988年に開発した「テーブルスポット溶接機」という、他社も手掛けないタイプを専門に扱っている。テーブル型で多関節ロボットアームを使い、奥深い箱物の溶接作業ができるものだ。コピー機や配電盤、自動販売機の筐体など、用途も幅広い。
2012年には、溶接時間がなんと0.01秒という「高速溶接技術」を開発。溶接痕がなくきれいに仕上げられ、現在はマイスポットの全シリーズに標準搭載されている。
「焼けない(溶接痕が残らない)スポット溶接は、世界初です」(甲斐美利社長)とし、国内外での販売台数を伸ばし続けており、現在までに海外25ヵ国、累計3500台を納入。工作機械の”本場”欧州にも積極的に売り込んでいる。
今回、同社は新工場を完成、稼働させた。事務所棟(4階建て)と工場棟(平屋建て)で構成。旧本社にいた従業員は新工場に移動した。甲斐社長は「金属が存在する限り”くっつける”という溶接の需要はなくなることがありません」と話しており、さらなる飛躍を誓っている。
取材メモ
甲斐社長は、あの本田宗一郎氏から学んだ経験がある。学校卒業後、世界に通用するキーロックメーカーを育てようと、本田氏が私財で設立したホンダロック(宮崎市)に1期生として入社。まもなく、本田技術研究所に配備され、本田氏直属のプロジェクトに抜擢された。
独立後も「ものづくりとは、作るだけでなく売れてこそ成り立つ」という本田氏の言葉を実践。マイスポットを開発してからは、「行商人」(甲斐社長)として、自ら営業に回り続けている。今でも海外にも単身で売り込みに行くことがあるという。
(かながわ経済新聞11月号6面掲載)